OUT(桐野夏生)を読んで-感想-

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書名:OUT
作者:桐野 夏生

独自の感想ですが、実際に本を読み感じた事、伝えたい事をまとめたものです。
どんな本を読もうかと悩んでいる人の参考になれば幸いです

「OUT」と聞くと「外へ」や「出る」などが頭に浮かぶ。
この本で言うところの外とは何なのか!?

登場人物である主婦や女達は、深夜の弁当工場で勤務しながらも
その工場からいつかは別の場所へと望んでいるように感じる。
その事を外と表現しているのだろうか。

私はそんな単純な事ではないと考える。

同じ場所で働きながらも、個々に抱える闇は違う。
そんな4人が1つの事を協力して成し遂げる様は、
傍から見たらそれがどんな事であれ「よくやった」と言うべきなのであろう。
しかし、常識に従えばどんな事でもと言うのは言い過ぎなのかもしれない。

例えば、それがくだらない亭主を殺してしまった事をひた隠しにするための死体処理だったら!?
この4人がした事をよくやったと言えるのだろうか。

これをきっかけに、その後当然ながら起こる恐ろしい負の連鎖。

こうした状況からのOUT。
自身の過去からのOUT。
現在からのOUT。
そして、これから訪れるであろう未来からのOUT。

人それぞれにOUTの訳や意味は違う。
しかし、人はその違いに憧れや夢を勝手に抱き、
妬み、嫉妬する生き物なのであろう。
それでいて、自身が憧れる者になれた時
思い描いていた物との違いに、裏切られた様な思い込みを勝手にする。

誰しもがあるであろう心の闇。
闇からのOUT方法を間違えた時、
その狂った歯車を止めるか、流れに身を任すかは己次第であり
全ては自己の責任であるのだと言う事をこの作品は教えてくれる。

ラストに訪れる主人公のOUTの境地とは!?
形は変われども、なおも続く果てしない虚無なのか。
それとも新しい境地なのかは読者自身が決める終わりである。

 
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